後書きと補足説明

 ここまでお読み下さり、誠にありがとうございます。
 当初は景麒を主役にしていたのですが、話しが重く先に進めなくなって浩瀚を主役に交替したら話しが進むは、進むは、長編を作る時は自分の好みで作るのが一番のようです。
 わたしの話の作り方はまず物語の設定があって、その中でキャラクターを動かしていく方式なので、原作にはありえない個人設定を強引に加え、オリキャラも登場させました。故に登場は必要最低限に押さえて、あえて名前をつけていません。読み終わったら忘れて下さい。




翠の墓標あるいは裏切りの荒野

(一) 帰 郷 
 浩瀚に関わる人間関係の説明になっています。主役を格好良く話しを面白くする為には友はいい男に、敵はどこまでも強く、がモットーなのです。
 柴望は大学では浩瀚と対等だったことにして、昇仙すると見かけの年齢が実年齢とイコールではない面白さに悲恋話しを付けてみました。生真面目が服を着て歩いている男ととんでもない男の組み合わせは面白そうだ、と思ったのですがどうでしょう?
 桓堆は人並み優れた武芸達者で気持ちのいい男を強調しているつもりです。わたしの趣味で主役を喰うほどに格好よくしたかった奴です。
 そして、浩瀚は自分が王の器ではないことを自覚していただろうという思い込みから、王に相応しい人物を知り、尊敬していたからではないか、と前任の麦州侯と兄を設定してみました。

(二) 陰 謀 
 慶国の高官達にろくな人物がいないのは何故か、という疑問から昇山で有能な人材の殆どが命を落としてしまったのではないか、その中には王気を持った人物がいたのではないか、という思い込みから設定しました。そして、その事実を浩瀚に知らせる必要があった為、浩瀚には黄朱の友人が必要だったのです。
 さらに次の王気を持った人物を景麒が長く探し出せなかった理由を王気を持った人物が胎果であったとしています。過去に胎果の王が少ないことと、長く王気を捜し出せない麒麟が時折出てくることを考え合わせると、胎果であった六太は例外として他の麒麟にとって蓬莱や崑崙は想像の埒外なのではないかと思えるのです。そしてこの経験があったからこそ、景麒は陽子を捜し出せたということにしたかったのです。



蒼の孤独もしくは嘆きの蜃気楼

(一) 予 王 
 浩瀚が陽子に失望していなかったことから、予王に対しても同様だったのではないかという思い込みで、麦州侯として出来ることを浩瀚にやらせてみました。仮にも王気があった人間を凡庸にしたくはなかったし、設定できる限り悲劇の女王とした方が物語としては面白いと信じているのです。それに、次の「偽王」にも被りますが、予王の天啓とは何であったのかを追求してみました。
 そして、浩瀚が噂通り温厚篤実で優秀な麦州侯であったならば天啓が降りてもよさそうなものですが、予王や陽子が選定されていることから、あの噂は作られたもので、作らなければならなかったという設定にしてあります。それに、噂通りの人物であったならば平然と法令無視はしないでしょう。「乗月」で桓堆が語った〜とんでもない人〜に仕立て上げています。

(二) 偽 王 
 この物語には女の登場が少ないので、予王姉妹を思いきり美人にしたかったのです。そしてそれに相応しく美しくも悲しい物語にしたかっという思い入れを存分に投入しています。舒栄を考えつく限りいい女にしたら、浩瀚が惚れないはずはないな、それに色っぽい話も欲しいし、ということで二人の悲恋話も作ってみました。
 さらに、偽王軍に追い詰められるくらいなら、とうの昔に朝廷によって潰されていただろうと思うので、自分から征州城へ乗り込ませました。



玄の狂気あるいは地に降りた星

(一) 冤 罪 
 浩瀚が冤罪をかけられて大人しく蟄居謹慎しているような人物だとは到底思えませんでした。大人しくしているからには裏には別の目的が隠されているはず、という思いつきで、自分から麦州侯を辞めるつもりだったことにしています。
 大宰については、予王を失道させたことから善人には仕立てていません。予王の為に心血を注いでいたら大宰として残ってはいられなかったと思うのです。さらに、靖共との対談は対決以前にも必要だと思たので対面させてみました。

(二) 潜 伏 
 これは全編に散りばめていることですが、浩瀚が和州に乱を起こそうとしたのはそれなりの確執があったということにしています。噂通りの温厚篤実な人物であったならば、断じて乱など起こしはしないだろうし、麦州侯時代から正攻法で努力をしていた筈です。正攻法では戦えず、どうしても呀峰を野放しに出来なかった状況があったとわたしは思い込んでいるのです。
 そして、和州の乱を起こすに当たって柴望や桓堆の自由裁量があったということから、浩瀚と柴望と桓堆は深い信頼に結ばれた友情があると信じています。
 また友情によって行動しているのならば、浩瀚は和州を彼等に任せきりにするはずはなく、自らは靖共の注意を引きつける囮となるべく堯天にいたと仮定しました。しかも、ただ囮になるだけではなく、浩瀚らしく一石二鳥を狙わせています。



紅の憧憬もしくは彷徨える暁

(一) 攻 防 
 広げてしまった大風呂敷はこの物語中で解決させなければならないでしょう。殆ど帳尻合わせの為の章です。
 黄朱の友人との関係、妓楼との関わり、靖共との確執の収拾をつけ、囮としての役割を果たしてもらいました。やはり、わたしの趣味としてはバイオレンス・シーンは欠かせません。
 妓楼については、政治の腐敗が進むと逆に義勇的な世界にもなるという可能性を表現したかったのです。原作でも虎嘯が隠れ家として利用していることから、荒唐無稽な設定だとは思っていないのです。この話の妓楼は隆慶一郎氏の「吉原御免状」の吉原がモデルです。妓楼も舞台設定の一つにしたいと思いつくと、ごく自然に延王が出てきました(笑)

(二) 登 城 
 陽子は慶という国にとって待望の王だったという劇的な話を読みたくてこんな馬鹿げた長編を作りました。その慶国の悲劇を体現する代表者が浩瀚だったのです。ただ救いを待つだけでは待望の王は現れるはずもなく、それ相応の努力の結果に必然的に陽子が登場したのだと思いたかったのです。この二人の対面で実質的な慶国の再生が始まる、それをわたしと一緒に期待して頂ければ幸いです。
 陽子の初勅で浩瀚が笑うシーンはアニメ以前に設定してありました。ここでの浩瀚が笑うことは皆さんにご納得いただけるものと思っています。



後書きの後書き(笑)

 この背景、気に入っていたのですが序章2ページしか使えなかったので、ここにも利用しました ^^;)
 「影の追憶」はもともと、わたしの自己満足のために執筆を始め、2年の歳月が経っています。初版は1年前に一通り完成していたのですが、今から読み返しても、とても人様にお見せできるような代物ではありませんでした。ここにアップしたものは何とか人目に晒せるようにと修正をしたしたものの、1年後には再び修正したくなっているかも知れません。それに原作の新刊が出れば、加筆、修正をしたくなると思います。この作品は完成の後にも改訂が加えられることでしょう。
 内容についてのご希望があれば掲示板かメールでお知らせ下さい。改訂時や番外編の参考にさせて頂きます。
30男が主役の十二国記(カナタ様命名)がわたしのスタイルとなりつつあるようです。
多分、20代後半の男でも大丈夫かな(笑)


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