私は、女性も袴をはいている、という前提で話をします。 根拠としては、アジアの衣服を見るに、男性が袴(ズボン)をはいている場合、女性も袴をはき、女性が下着をはかない(正確には腰巻を着ている)と男性はふんどしを締めている、という関連性によります。 どうも、騎馬の習慣がある民族は、ズボンをはくようです。十二国世界、特に王宮では、馬に乗れることを官の必須条件にするという文化があるようですから(結果的にはそうなっていますよね?)、少なくとも王宮の男子は袴だし、だとすれば女性も袴をはいているだろう・・・と。 もしかしたら、民間には、女は腰巻で男はふんどし、という地域もあるかもしれませんね。あるとすれば、それはほぼ間違いなく南方の国。奏の真珠取りは、ふんどし一つで海に潜っている、なんてのも、ありうる図でしょう。 それは北方の国にも言えることです。気候が違い、産物が違い、生活が違う以上、互いに似通う点はあっても、全く同じ衣服を着ているなんてことは、おそらくないでしょう。 (下着を着せるの脱がすの、という話が出たとき、私は即答するのをためらいました。国によってどんなのを着ているか、差があるはずだからです。) 唐代の衣裳は、漢民族(大雑把に言えば南方)、騎馬民族(以下同文で北方)、さらに西域の影響も入り混じっているもの。さらに、分からない部分補完するために集めた情報は、いつの時代とも知れないものが多数・・・・それでも、いささかの参考になれば。 情報が、完全でないことを前提にお読みください。 | 衫(さん) |
左端の3つが衫(さん)になります。 衫は単(ひとえ:裏地なし)仕立てです。上の二つは腰くらいの丈で下着として着用するもの、下のは床までの丈があって上着にするものです。 真ん中のは、和服のように衽(おくみ;重なる部分)があり、紐で結んで止めています。筒袖の甚平を想像すると分かりやすいと思います。私はてっきり衫でないと思っていたのですが、明確に「衫」として図解してる本があったので、これも衫に入れます。 襦は、おそらく、この真ん中のと形は同じだと思います。ただ、襦は袷(あわせ:裏地あり)に仕立ててあります。綿(真綿?木綿?十二国世界に存在するなら、どちらでもありなのですが、古いのは真綿です)が入れてあることもあるようです。 | 袴(こ) |
上の左の絵は、左右が分かれている古いタイプの袴(氷魚さん宅で出てきたのはこれだと思います。隣は、ばらばらにしたときのウエスト部分の図)で、右端にあるのがもう少し新しいタイプの袴(背中から見た図)です。子供用の袴は、ベルトで前の部分だけがつながっていて、股の部分は、がばっと開いています。大人用のは、唐代あたりから、一部を残してぐるりと縫い閉じるようになったそうです。丈は、すねの半ばほど、もう少し長ければくるぶしが隠れないくらい。すそは、縛ったり縛らなかったり、両方の履き方をします。 | 裙(くん) |
この図は巻きスカートのタイプ。ベルト部分の両端に、結びとめるための紐が付けてあります。スカート部分を前で重ね合わせて、おそらくは両方の紐をぐるっと回して前で結ぶ(結んだ紐はベルトの中に隠す)のではないかと思います。 裙は女性が着るものだそうです。ついでに言えば、裙には襞(プリーツ)がよせてあるものらしいです。(※ないのも見たような気がします) | ばつ(衣偏に末) |
「ばつのいろいろ」として描いたのは、私が見つけたばつの挿絵なんですが・・・左のは袋にしか見えないし、まん中は、図が平面的過ぎて立体図を想像できませんでした。右のは、実は日本のなんです。時代も相当下っているので、参考にはしづらくて。 私の見つけた、唐代の、女性がばつを履いている絵は、靴も履いているときこんな(「いろいろ」の隣)感じ。ばつについての図・説明などから想像するに、底になる布1枚と、甲から足首を覆う部分の布・数枚をはぎ合わせて本体とし、留める紐が足首についているだろうと思います。(描いたのは底1枚上面2枚をはぎ合わせた場合を仮定し、足を透かして描いた図) | 由里様的常世語り/ 資料室メニュー/次の着替えへ |
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