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奇跡の玉 −中編−
ある夜、湯殿で疲れを癒した浩瀚は、自身の私室に戻ると、半乾きの髪を緩く纏め右肩に流す。
重い官服を丁寧に整え、落ち着いた彼は、ゆったりと榻に腰を落とすと、小さな玉を取り出した。
明り取りの炎にかざし、くるくると手の中で角度を変えながら、その玉を眺めている。
「…まこと、この玉は昼と夜とでは表情が変わる。…不可思議な…それでいて、魅惑的な玉だ」
一人呟きふっと乾いた笑みを零す。
「一体如何して、こんな玉にこれほど拘るのか」
自分にこんなにも執着心があった事など、浩瀚は今まで知らなかった。
しかし、初めてこの玉を見た時、自分の心を捉えて離さなかった。
「この感覚を味わうのは二度目だな」
言って浩瀚はそのまま目を瞑る。
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