ｉｎ蓬莱イラスト

ｉｎ蓬莱イラスト－夜紅虫様

Illustrated by YKOCHU in 2004

　臥室に続く扉が開かれ、浩瀚が振り向くと、そこには体の線にぴたりと張り付く布を纏い、髪を二つに結い上げて、後ろ手を組んで首をかしげる少女がいた。その衣裳に袖はなく、華奢な両腕の肌が露わになっていた。
「似合うかな？」
「よくお似合いですが、今のわたしにはかなり刺激的なお姿ですよ」
浩瀚は片手で顔を覆ってうなだれた。
「そうかな？これでも一番肌の露出が少ない服を選んだつもりだったんだけど・・・」
陽子は自分の体を見下ろして言った。浩瀚は溜息をついてから、陽子に近づき、いつにも増して華奢なその腰に両腕を回した。
「露出が少なくても、衣裳の下を想像してしまうのですよ」
そう言って浩瀚が露わになった腕の付け根に口付けると、陽子の体が腕の中で飛び跳ねた。
「浩瀚！」
陽子が叫ぶと浩瀚は陽子の首筋に顔を埋め、くつくつと笑った。
「からかったのか？」
陽子が震える声で言うと浩瀚は顔を上げて首を横に振り、陽子の頬に掌を添えた。陽子の真っ直ぐな碧の視線が胸に痛かった。
「あまりにも魅力的で切ないですよ」
そう言って浩瀚は陽子の唇に己の唇をゆっくりと降ろした。

――翠玉作「ｉｎ蓬莱」より――　



		ｉｎ蓬莱イラスト－夜紅虫様 Illustrated by YKOCHU in 2004		臥室に続く扉が開かれ、浩瀚が振り向くと、そこには体の線にぴたりと張り付く布を纏い、髪を二つに結い上げて、後ろ手を組んで首をかしげる少女がいた。その衣裳に袖はなく、華奢な両腕の肌が露わになっていた。「似合うかな？」「よくお似合いですが、今のわたしにはかなり刺激的なお姿ですよ」浩瀚は片手で顔を覆ってうなだれた。「そうかな？これでも一番肌の露出が少ない服を選んだつもりだったんだけど・・・」陽子は自分の体を見下ろして言った。浩瀚は溜息をついてから、陽子に近づき、いつにも増して華奢なその腰に両腕を回した。「露出が少なくても、衣裳の下を想像してしまうのですよ」そう言って浩瀚が露わになった腕の付け根に口付けると、陽子の体が腕の中で飛び跳ねた。「浩瀚！」陽子が叫ぶと浩瀚は陽子の首筋に顔を埋め、くつくつと笑った。「からかったのか？」陽子が震える声で言うと浩瀚は顔を上げて首を横に振り、陽子の頬に掌を添えた。陽子の真っ直ぐな碧の視線が胸に痛かった。「あまりにも魅力的で切ないですよ」そう言って浩瀚は陽子の唇に己の唇をゆっくりと降ろした。 ――翠玉作「ｉｎ蓬莱」より――

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