浩瀚×陽子−ｔｅｉ様
二人で被衫になると陽子は俯いていた。
「こうして堂々と一緒にいられるなんて、ちょっと恥ずかしいね」
浩瀚はくつりと笑って陽子の背後に立ち、耳元に口を寄せた。
「ああ、今宵はわたし達が何をして過ごすか皆に知られているからですか」
低く囁かれ、陽子は首を竦めた。浩瀚が陽子の体に腕を回すと陽子は前に組んだ手に両手を乗せた。
「今までは誰にも知られないように会っていたから、」
「これからは毎夜一緒にいられます」
陽子は再び俯いた。
「それに、こうして後宮に居を許された者にとって、夜は王に満足していただくのも勤めの一つです」
浩瀚が陽子の髪を一房掬って、口づけると、陽子の体が小さく震えた。
「ば、ばか！わ、わたしはこうして一緒にいられるだけで満足している！」
「いいえ、お心だけではなく、」
浩瀚は陽子の耳元に寄せていた唇で首筋に触れた。
「あっ」
陽子は浩瀚の腕に置いていた手に力を込めて、浩瀚の手を握りしめた。
「御身を喜びで満たして差し上げたい・・・」
浩瀚は仰け反った首筋から、ゆっくりと首の付け根まで唇を這わしながら、陽子に捉えられていた手を一つ抜き、被衫の袷から手を差し入れ、柔らかな肌にそっと触れた。そして、陽子の手は浩瀚の手を追ってその上に重ねられた。
残されたもう一方の手も陽子の手に捉えられたまま、ゆっくりと下の方に延ばされ、陽子の唇からは切なげな吐息が漏らされた。
「もう、声を押し殺す必要はないでしょう？」
再び、耳元で囁くと今度は反対の首筋を吹い、陽子の肌に触れていた指先が一斉に力を得ると、陽子の喉から長く尾を引く声が発せられた。
後宮での二人の生活はこれから始まる・・・
―― Written by 翠玉 ――
