浩陽in紅葉−夜紅虫様


Illustrated by YAKOCHU in 2004

 翌日二人の姿は金波宮から消えた。そして、さらにその次の日には雁との高岫近くの森の中を歩いていた。秋も深まり、風は冷たかったが、山の木々は燃えるような紅とまばゆい黄金色に染まっている。陽子は浩瀚の片腕に両腕を絡ませ、二人は寄り添うようにゆっくりと落ち葉を踏みしめながら山を登っていた。端から見ていれば仲の良い男女のように見えるのだろうが、実際は襦裙や女物の履(くつ)に慣れていない陽子が何度も足をもつれさせた結果で、二人には親しげな会話もなく、若い女の方には笑みもなかった。
 浩瀚の腕に体を預けて、あざやかな景色を見渡しながら歩いていた陽子は小さな窪みに片足を取られて小さな声を上げると、浩瀚は咄嗟に沈む陽子の体を抱きしめた。かさりと枯れ葉の落ちる音が聞こえても二人の体勢は止まったままだった。陽子は浩瀚の背に回した両手で袍を掴んで「苦しい」と呟くと、ようやくその腕から解放された。
「歩けますか?」
静かに問われて陽子は頭を縦に一つ振り、再び歩きだそうとしたものの、片足に力が入らずに体が傾いた。浩瀚は片腕で陽子の体を支えると、もう片方の腕を陽子の膝裏に差し込んで、陽子を抱き上げてしまった。
「少し休めば歩けるようになる」
陽子は間近に迫った浩瀚の顔を必死に睨めつけた。
「どうせ休むなら見晴らしの良いところがいいでしょう」
浩瀚は陽子から目を逸らすと前だけを見つめて歩き出した。陽子はしばし浩瀚の顔を見つめていたが一つ溜息をつくと、浩瀚の目線での景色を見渡した。紅葉が目の前に迫っていた。
―― 翠玉「紅よりも赫く染められた心」より ―― 




イラスト・コレクション[38]
<管理人の蛇足からで失礼します>
まずは夜紅虫さん、1年も放っておいて申し訳ありません〜!
何としてでもテキストをおつけしたかったのです。が、このイラストに釣り合う話を思いつかなかったのと、季節外れになってしまうので、今年の紅葉が終わる前に何としてでもアップする!と誓っていました。
夏の総集編以来「チャングムの誓い」に嵌り、ミン・ジョンホとチャングム風の浩陽を書きたくなったのはいいのですが、挿し文には余る長さになって抜粋する羽目に・・・
駄文が少々鬱陶しいですが、読む気が失せて丁度いいカモ、とも思っています。←遅れた意味がない!
今年は紅葉を楽しむ余裕がありませんでしたが、こうして眺めていると秋が感じられます。夜紅虫さんには改めてお礼申し上げます。


要はダジャレです・・・(←殴)
夜紅虫様 2004/12/6 (Mon.) 02:30:09

構図考えるのに5日もかかってしまいました。だって、お姫様抱っこは重要ですから!

そして、シーズンが終わるか季節との戦いでした。(←そんな大したことではないだろう)
まだ観光できる場所はあるようですけど、紅葉カレンダーに12月上旬迄とあった新宿御苑も昨日の風で散ってしまっただろうし、あああぁぁ、季節に乗り遅れたかぁ〜!
なんて言ってたら、もう師走です。年々一年が経つのが早く感じるようになりました(^-^;)

浩陽作品増産プロジェクトのレベルの穴を埋めたいのですが、これは…、見つめあってないですけど、二人の関係は4(視線)あたりでしょうか、プラトニックです。ん〜、どうも9(蜜月)ではなさそうですし。
状況は、たとえば足を痛めて出かけられない主上を、お優しい冢宰が気分転換に連れ出しました、などです。

11(嫉妬)とかも描いてみたいし読んでみたいし、リレー小説の挿絵や妖しい楽俊など誘惑がたくさんありますが、忘年会シーズンに突入しつつあるので、なかなか時間がとれなくなってきました・・・(ToT)
──皆様も呑みすぎにはお気をつけくださいませ。


コウヨウがいっぱい?
翠玉@管理人 2004/12/7 (Tue.) 00:28:32

▲を一言でも、と▼へのレスを飛ばしました。
不安気な陽子、思いつめたような浩瀚はどこへ連れて行こうとしているのでしょうか・・・
(どうしても、怪しくしないと気がすまないのか?)


この絵って・・・
ネモ様 2004/12/7 (Tue.) 07:52:54

自分が「王である事」を忘れてしまった陽子を(定番の記憶喪失ネタ♪)、浩瀚がある決意と共に、どこかへ連れて行く・・・ように見えるのですが(笑)。

陽「ここ、どこ・・・?」
浩「・・・」
陽「イヤ、怖い・・・!」
浩「お静かに。すぐに分かりますから・・・」
陽「こうかん、さん・・・?」←さん付けがポイント(笑)


意味不明の妄想でした(笑)。


くれなひにほふ
あかり様 2004/12/7 (Tue.) 12:44:42

すごい! 鮮やかな紅葉ですね。ひとっこ一人いない静けさが漂っています。どこなんでしょう? 御料地ですかねえ? 

そして、夜紅虫さんの陽子はいつも明るい表情が少ないですよね(雰囲気あるので好きですが)。これなんか、紅葉じゃなくて、満開の桜だったりしたら、「桜の森の満開の下」のような雰囲気が似合いそうだしv(でも、陽子さんが怖い趣味の姫様っていうわけじゃないけど)。
今度は、笑顔でラブラブカップルの浩陽なんてどうでしょう?(しかし、浩瀚が笑顔かどうかは・・・・)

ネモさん、浩瀚のある決意って、なんですか?気になる〜♪ でも、陽子さん、確かに不安げな様子ですよね。記憶喪失〜♪ この絵はその設定でピッタリきますね。


この絵は
夜紅虫様 2004/12/7 (Tue.) 22:50:07

『紅葉で浩陽』というリク&京都画像を友人からいただいたので描いたものでした♪
本当は紅葉の中で血みどろ末声ものにしたかったのを自制したら、中途半端になってしまいました。残念!


>翠玉さん
そうです、浩陽がいっぱいです、この掲示板も小説掲示板も。
すべては翠玉さんのおかげですv ありがたいです〜〜(歓喜の溜息)
うちのPCでは、「紅葉」とか「効用」とか入力すると、漢字変換の第一候補がどうしても『浩陽』になってしまいます(笑) 
きっと翠玉さんもそうなのでは?(他の方も絶対そう^^;)

>ネモさん
あかりさんじゃないですけど、「ある決意」って何ですか? 気になる・・・。
そして「すぐに分かる」って、何をするつもりだろう・・・?
記憶喪失ネタ。定番ですが好きです♪
結局のところ、元の鞘におさまるのは確実なんですけど、その過程にワクワクしちゃいます。
そして思い出した後は忘れてた分を取り戻すかのように、反動でさぞかしラブラブなんだろうなと妄想せずにいられませんv

>あかりさん
相変わらず鋭いです。でも最近、その鋭さが快感になってきました(←蹴)どんどん突っ込んでください。
そう、笑顔が少ないのは自覚してますし、わざとです。憂い顔とか泣き顔とかを陽子さんにさせるのが趣味なので。
ですが、ちょうど昨夜、嫉妬をテーマに描いてた下絵では珍しく陽子さんがニコニコ笑っています。
相手が浩瀚でないところが申し訳ないのですが・・・。
(あかりさんの『デコにチュウ』を描きたかったのを必死で我慢しました)
いいですね、満開の桜。春になったら描いてみたい♪


夜紅虫さんのイラストは・・・

ネモ様 2004/12/7 (Tue.) 22:51:42
本当に雰囲気があるというか、思わず「ミニストーリーを書きたいな♪」と思ってしまう魅力があるんです。
単なるイラストに留まっていない、「物語のワンシーン」を切り取ったような、既に「挿絵」のようなそんな雰囲気が。
ですから、大好きです(笑)←結局はこれが言いたかったのです。

ここの浩瀚は、前作(bR7)よりも少し若くて、何よりも「白い」感じがします。
どこか思い詰めたような浩瀚に、妄想がかき立てられるのです・・・(笑)。


おや?
夜紅虫様 2004/12/7 (Tue.) 22:57:19

お、一分違いだわ・・・。おしい。

実はですね、好きといってもらえるのが一番嬉しいのです。心にジーンと響きました。
ネモさん、暖かいお言葉ほんとにありがとうございます。
(黒の後は、お口直しに白い浩瀚でした)


あ、本当だ(笑)
ネモ様 2004/12/7 (Tue.) 23:14:28

上記の文章は、夜紅虫さんからのレスの上にあるものとして読んで下さい(笑)。
横着者です。

あまりにも見事な浩陽、いえ、紅葉なので(私のパソコンは「こうよう」と入れると最初に浩陽になる・・・(笑))、確かに末声すら連想しますね。

この絵って、小説掲示板で雅姫さんの書かれた「紅染」の「その後」でもいいなあと思っています。
失われた陽子の記憶を、己の命と引き替えにしてでも取り戻すと決意した浩瀚の死闘なんて――ああ、怒っちゃイヤ。


ある決意――何にしましょう?(笑)←どうぞ殴って下さい。伏礼していますので。

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背景素材:トリスの市場

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