Illustrated by WADACHI in 2004.
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ここは関弓山の頂、玄英宮。 掌客殿の園林を六太と並んで軽やかに花を愛でていた陽子だったが、小さな悲鳴を上げて頭に手をやって立ち止まった。 「じっとしてろよ」 と六太は庭石を踏んで陽子の頭の上にある沈丁花の枝を折り、慎重に腕を降ろすと、自分を見上げる陽子と視線が合った。 「わたしの髪を切ってもよかったのに」 「陽子の髪の方が大事だから・・・」 陽子は自分の失態に頬を染め、六太は自分の言葉で血が頭に上った。 六太は庭石から降りずに、沈丁花の枝に絡まった陽子の髪をほどいた。 「こんなに、そそっかしい王なんていないよね」 陽子は六太の手の中にある沈丁花を見つめた。 「おおぼけな王よりも遙かにマシさ」 六太が陽子に片目を瞑って見せると、陽子はくすくすと笑った。 「ありがとう、六太君。でも、この木には気の毒なことをしちゃったね」 「そうでもないぜ。陽子の髪に捕らえられて喜んでいると思うけどな」 六太は髪をほどいた枝を陽子に手渡すと、庭石から飛び降り、両手を頭に組んだ。 「ほら、ここには殆ど野郎しか来ないからな。陽子の髪をそいつが引っ張ったのかも知れないだろう?」 「わたしは気に入られたのですね」 陽子は六太の背に向かって言うと、六太は「そうそう」と背を向けたまま片手を上げて、ひらひらと振った。 |
50万ヒット記念フリー作品です。ワダチ様おめでとうございます。 ワダチ様のサイトを覗くとどうしても、萩尾望都の世界を思い出すので、つい・・・(^^;ゞ わたしが六陽を書く日が来るとは思ってもみませんでしたよ。(笑) マイナー・カップリング祭に参加できなかったお詫びです。ん〜、氾陽を投稿したかった・・・ −メニューへ戻るにはウィンドウを閉じて下さい−
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