Illustrated by co in 2002.
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「では、試してみましょうか?」 そう言って浩瀚は自分の心臓に剣を突き立てようとした。 「よせ、浩瀚!」 陽子は浩瀚が手にしていた剣の柄をとっさに掴んだ。剣は浩瀚の左肩に突き立ったが、そこから血が出ることも、袍が切れることもなかった。浩瀚は笑みを浮かべて剣を引いた。 「どうされたのです?この水禺刀はあなた以外の者には扱えないことなどご存知でしょう?」 「バカヤロウ!たとえ斬れないとわかっていても、こんな真似をされて心臓にいいわけないだろう」 陽子は怒りに震えながら浩瀚を睨め付けた。その碧の瞳が心なしか揺れていた。陽子は浩瀚から水禺刀を取り上げると後ろへ放り、浩瀚に抱きついた。水禺刀は音を立てながら浩瀚の目の前に転がった。陽子の体は小刻みに震えていた。 「お前が水禺刀で首を刎ねる夢を見た」 「それはあり得ません」 「うん、でもお前はわたしより先に死ぬな」 陽子は浩瀚の眼を見上げて言った。 「それがわたしにとってどれほど辛いことかおわかりか?」 浩瀚も陽子の碧の瞳を見つめて問いかけた。 「わかっている。でも、お前に先に死なれたらわたしも辛い」 陽子が微笑んで言うと、浩瀚は溜息をついた。 「残酷な命令ですね。では、あなたが先に身罷れた時には後を追うことを赦して下さいますか?」 陽子は眼を伏せて横を向いた。 「景麒が次王を選ぶのを見届けた後なら・・・。お願いだ、わたしの代わりに!」 陽子は浩瀚の袍を両手で掴んで浩瀚の眼をまっすぐに見つめた。その時、水禺刀の刃が光り、その水音に陽子の体が僅かに跳ね上がった。浩瀚は振り向こうとする陽子をしっかりと抱き締め、眼の前の刀身を見つめた。 そこに映っていたのは血の海の中で幸せそうに眠る自分の姿だった。そして、その手には水禺刀が握られていた。浩瀚は口元に笑みを浮かべた。 「すべてはあなたのお望みのままに・・・。どうせ、この身はあなたのものです」 浩瀚は陽子を縛めていた腕を解くとその華奢な手首を片方取って手の甲に頬ずりした。陽子がもう片方の腕を浩瀚の首筋に廻すと、浩瀚は掴んでいた手首を自分のうなじに持っていった。僅かに開かれた桜桃色の唇が近づき、碧の瞳に紅い睫毛の紗が降りた。浩瀚も僅かに伏せた眼で紅い紗の向こうにある碧の瞳を見つめながら、桜桃の唇に舌を差し入れた。柔らかな感触が舌に触れると、今度は陽子の柔らかな胸を自分に押しつけるように肩を抱き、細い腰にもう片方の腕を巻きつけ、柔らかな舌を何度も掬った。 やがて水禺刀は次王を映し出したが、陽子も浩瀚もそれを見届けることはなかった。 「13℃」co様への捧げもの
This fanfiction is written by SUIGYOKU in 2003. |
浩陽同盟の掲示板で「剣を持つ浩瀚を見てみたい」と振ってみたら、届けてくれたこの作品。文章をお付けしたいとおもいつつも、オフのスケジュールやトラブルやらで、頂いてから半年以上が過ぎてしまいました。不義理な奴で申し訳ありません。 不思議な構図で変わった設定を考えるのがものすごく好きなもので、楽しませて頂きました。が、暗くて済みませ〜ん ^^;) 待たせた挙げ句が、こんな駄文なんて、妖しく美しいcoさんの絵にわたしの無粋な文章は似合いませんね。オープニングの配布作品で是非リベンジを果たすべく鋭意努力するということで、とりあえずは逃げておきます。(冷や汗) coさんの他の麗しく男前な絵は13℃で・・・(メニューに近道リンクがありますよ♪) −メニューへ戻るにはウィンドウを閉じて下さい−
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